「ごめんなさい。」
「謝らなくていいんだよ。」
「捜してくれてたなんて思わなくて。」
「生きていたなら手紙の一枚でもゆかの家に送ってくれれば良かったのに。」
ゆかの言葉に目を逸らし、
舞ちゃんは森下さんの手を強く握った。
「あたしに会いに来ただけだよね?まさか連れ戻したりなんて。」
涙ぐんで話す舞ちゃんの頭を撫でながら
森下さんは笑顔を振りまいた。
「舞のためを思って捜してくれていたんだ。疑ったりするんじゃない。」
「舞ちゃん。僕たちはまだ高校生だ。君を連れ戻して君を養っていけるほどお金を持っていない。祥吾の意志を生かすために君を捜していたんだよ。」
「お兄ちゃん?」
舞ちゃんは首を傾げた。
さりちゃんが鞄から封筒を取り出し、
ゆっくりと口を開いた。
さりちゃんに送った祥吾からの手紙。
さりちゃんは舞ちゃんへの思いを書いた部分だけしっかり読み上げた。
「森下さんの所にいることで舞ちゃんが幸せならそれでいいの。ただ祥ちゃんが舞ちゃんを幸せにしてあげたいっていうから、その確認がしたかっただけなの。」
森下さんの隣りに座る舞ちゃんは恋する少女だ。
森下さんを見る目が優しくて、
向ける笑顔が何より幸せを物語っている。
「実は、舞のお腹の中に僕の子がいるんです。」
トシが思わず飲んでいたジュースを口から吐き出していた。
僕もコップを落としてしまいそうになった。
「まだ3週目なんですけど。舞が16になったらすぐに籍を入れて結婚します。舞の血縁がいないのであなた達に承諾を貰いたくて、今日呼んだのです。僕は舞を心から愛しています。舞がいて救われた事がたくさんある。分かってくれないだろうか。」
15歳で子どもって。
僕たちには衝撃で言葉が出てこなかった。
「辛くて、もう何も出来なかった。目の前でパパとママとお兄ちゃんが殺されて、あたしも死にたかった。でもそれを助けてくれたのがあっちゃんで、あたしはあっちゃんが大好きで。お願いします。結婚させて下さい。」


