歩いて駅前の予備校に向かう途中、
僕の携帯が震えていた。
ディスプレイには知らない番号が表示されている。
無視をしたが、すぐにまた同じ番号から掛かってきた。
「もしもし?」
「あれ?これゆかりちゃんの携帯番号じゃなかったっけ?」
舞ちゃん探しのとき、電話番号を記入する欄に
僕の携帯番号を記入させていたことをすぐに思い出し、
ゆかに電話を替わった。
「もしもし?」
「ゆかりちゃん?さっきの彼氏かなんか?」
「あ、はい。知らない番号だって言ったら俺が出るって言って聞かなくて。どうかしたんですか?」
「僕のこと分かるかな?横浜の店の店長。」
スピーカーボタンを押し、
僕にも聞こえるように会話をさせた。
2人で目を合わし、
特徴的な声をしているあの不審な店長を思いだした。
「はい。覚えています。でも働く気はなくて。」
「違うんだ。そんな話をしたいんじゃなくて、ゆかりちゃんもしかして榎本舞って子知ってる?」
ゆかはその言葉を聞いて
僕の携帯を落としてしまった。
携帯を拾い上げ、会話を割り込むようにして僕が入った。
「なんで榎本舞のこと知ってるんですか?」
「あれ?彼氏さん?いや、ゆかりちゃんの顔に見覚えがあって今思い出したんだ。舞の持っていた写真に写っていた子だ!って。」
「写真?今どこにいますか?僕たちと会っていただけないでしょうか?」
「今日は無理だけど、明日の昼なら大丈夫だよ。」
明日はちょうど土曜日で学校も休みだった。
待ち合わせ場所と時間を何度も確認して僕は電話を切った。
今日は予備校になんか行ってる場合じゃない。
すぐに麗に電話を掛け、
トシと香代にもメールを送った。
ゆかと足先を家路に戻し、
僕の家に向かうことにした。


