君想い【完】



「レイ!行こう!」



あのさりちゃんの一言が頭の中を何周もして僕の中を掻き回す。

地面に足がついていない。
今僕はここにいてはいけなかったんだ。

これ以上大好きなさりちゃんの事を知ってはいけなかった。

大好きなさりちゃんは、大好きなさりちゃんのままでいればよかったんだ。


完全に頭が現実逃避に走っている。

考えないように
なにもなかったように

頭の中で今あったことを
ハサミで切り取るように


僕は今のことをなかったかのように思い込んだ。