「さりちゃん!」 僕の声に振り向いたさりちゃんは、すぐに不審な女の手を引っ張った。 「レイ!行こう!」 奥の路地に止まっていた車に乗り込み、 車はスピードをあげて僕達の前から消えた。 「おい。今のやばくね?」 「昨日の女だろ。」 僕は呆然だった。 何も言葉がでてこない。 怖くてその場に立ち尽くしていた。 自分の前で起きていたことがわからなかった。ただその場から動けない。 さりちゃんのことが分からない。 みんなが僕になにか言葉をかけている。でも僕にはそれが聞こえない。