さりちゃんは鞄から手帳を取り出し、
僕たちに見えるように広げた。
調べた店の名前、
中の作り、状況、在籍する女の子たちが詳しく書かれていた。
「32件。これで全部。」
「意外に少なくないか?」
「水商売一般は五神田って姉貴が言ってただろう。薬とヤミ金でうまく金は動かしてるんだよ。」
手紙を読んでから黙りっぱなしだった
ゆかがかを思い立ったように、
急に声を上げた。
「ねえ、明日ゆかたちを五神田麗ちゃんに会わせてくれないかな?」
「何で?」
「考えがあるから。それに五神田麗ちゃんにも話を聞かなきゃ納得出来ない部分もあるしね。」
僕も同感だった。
さりちゃんの話だけじゃ
どうもまとまらない部分がある。
「五神田麗ちゃんに会ったあともゆかの所に来て、純と別れさせようとした理由は?」
声のトーンが少し落ち、
ゆかの顔が一気に真剣になった。
心の中で2人になってから話してくれと思ったのは
きっとトシも一緒だろう。
男はそういう話しを聞きたいものじゃない。
「いつか純が必要になるときが来るって、麗がよく言うの。だから、」
「分かった。もう何も聞かないから。ごめんね。変な事聞いて。ゆかのためを思ってとってくれた行動だもんね。」
ゆかを心底良い奴だと思った。
こんなに人の事を考えて行動する人はいないだろう。
いっぱいいっぱいのさりちゃんを
これ以上傷つけないために、
疲れさせないために、
ゆかは問うのをやめたのだ。


