さりちゃんの手を取り、切ってしまった中指を口に含む。
「痛い?」
「大丈夫。」
僕を見る目がいつになく優しく感じられるのはなぜだろう。
写真を見る目が昔と同じ目なのはなぜだろう。
「さりちゃん。お願い。もう僕たち限界なんだよ。さりちゃんの事を考えると苦しくて仕方がない。」
「さりなちゃんは何をしてるの?苦しいのはゆかたちだけじゃないよ。祥吾くんもきっと苦しんでる。」
「香代の部屋にも中澤が飾ってたのと同じ写真が今でも飾ってあるんだ。修学旅行で撮った5人の写真も。」
「さりな。あんた1人じゃないんだよ。心配する人間はたくさんいるの。トシは今でもさりなに裏切られたと思ってる。これ以上誰かを傷つけちゃ駄目だよ。自分もね。」
さりちゃんは涙を流しながら僕にしがみついてきた。
小さくて狭い背中を撫で、僕の顔を小さな頭の上に乗せた。
「ごめんなさい。ごめんなさい。」
「誰も怒ってないよ。」
力強くさりちゃんを抱き締めると、返すようにさりちゃんがきつく僕を抱き締める。
「祥ちゃんを楽にさせてあげたかったの。」


