「さりなちゃん。」
ベットを跨いで、
ゆかが部屋に踏み入れた。
「ゆかりちゃん、まだ純が好き?」
「さりなちゃん!」
ゆかの大きな声に
驚いてさりちゃんは頭を抱えた。
「いや、いや。純を連れて行かないで!」
ゆかは久しぶりにさりちゃんにあの目を向けた。
敵を見るような、鋭い目。
「自分がしている事で、みんなが苦しんでいるのが分かる?」
「あたしに関わったら、もっと苦しむ!」
「だったら純は苦しんでもいいの?だから純だけはそばに置いておくの?」
力いっぱい首を振り、
長い髪からシャンプーの香りと煙草の混じった匂いがした。
「もうさりなちゃんを見ているだけで、みんなが苦しんでいるの。教えて。何をしているのか。」
また大きく首を振り、口を閉ざした。
香代がベットの上にある写真立てを手にして、
自分との2ショットの写真を撫でた。
少し被っていたほこりを落とし、
その写真の上に涙を1粒落とした。


