君想い【完】



見覚えのある車を見て、
僕の部屋を出ようとしていたトシを呼び止めた。

持っていた着替えを床に置き、
トシは窓に張り付いた。


「五神田麗が乗ってた車だ。」


だんだんスピードの遅くなる車をトシと2人で目を光らせて見ていた。

ゆかと香代も窓に近寄り、
少しだけ窓を開けた。

開けた窓から、ファンヒーターで暖まった暖気が抜けていく。


ジェスチャーで姉貴に電気を消してもらい、
外に耳を傾けた。


「止まった!」


思わず大きい声を出した香代の口をトシが思い切り押さえていた。


前の車のドアが開くと、
少しよれたスーツを着た男が出てきた。

男は後ろの車が止まるのを確認して、
後ろのドアを開けた。


「今日はありがとう。」

「あんまり無理しすぎない方がいいよ。ゆっくりでいいんだから。時間が掛かってもあたしは付き合うよ。」

「うん。でも早くしないと、駄目になっちゃう。」

「そうだね。でもさりなのお陰でだいぶこっちも助かってるよ。もう少しだね。」


車のドアが閉まる音と同時に車のエンジン音がした。

前の車が走り出すと後ろの車は追うように走り出した。