君想い【完】



トシの言った事を意識しすぎて戻ったあとのスコアはボロボロだった。

ガーター出しまくりでみんなの笑いの的。

一番笑っていたのはもちろんトシだ。
僕が動揺しているのを楽しんでいる。


そんなトシの姿を見てあの話はトシの冗談に感じてきた。
むしろそう思うことにした。


みんなでプリクラを撮ったり、お金は使わないくせにゲームセンターをうろついたり。

時間をつぶして歩いた。

なんてくだらなくて
なんて癒される時間なんだろう。


ゲームセンターの耳をほじくり返すような爆音も、ウザイくらいの人ごみも今の僕には心地がいい。



「帰るか。」

1人の一言でみんなが駅に向かう。なんて団結力のある連中なんだ。

こんな風に楽しんでいると、思う事がある。

さりちゃんも友達がいたらきっと僕みたいに心地いい時間ができて、前みたいに笑っただろう。


でも今のさりちゃんには、友達という存在が暴力的でうちの高校の連中はみんな敵。


そう思うと淋しくなる。