ゆかの手を握り、反対の手で佐倉先輩の胸ぐらを掴んだ。
「いい加減な奴!薬でイカれるのも程々にして下さい。あんたは最低だよ。」
黒のワイシャツの襟がよれている。
2回も胸ぐらを掴まれて、
ボタンが何カ所か取れていた。
「クソガキが!」
僕の顔に拳が降りかかる。
人差し指と中指に付けている
頑丈なシルバーリングが痛みを増やす。
「誰の弟に手あげてんだよ。龍司、お前覚えておけよ。」
姉貴の顔を見て、我に返ったように佐倉先輩は足下を崩した。
「純、みんな行くよ。こんな所にいちゃいけない。」
佐倉先輩の顔につばを吐いて、姉貴はドアを開けた。
ドアの隙間から、小さな袋が落ちた。
袋から白い粉が舞って落ちていく。
それが何か、
僕たちにはすぐに分かった。
トイレのドアを開けると、
また大きな音と気の狂ったような笑い声が聞こえてきた。
また姉貴に声を掛けてくる奴らがいた。
それを無視しながら、
出口へ向かった。


