君想い【完】



目の焦点が合っていない。

頬骨が出過ぎていて、頬の肉がまったくと言っていいほどない。

唇は荒れていて、皮だらけだった。

右目が今にも飛び出してきそうな暗い大きくて、
反対に左目は半分以上開いていない。


「さ、佐倉龍司?」

トシが思わず後退りをした。

トシの後ろに隠れていた香代とぶつかって、
香代の足を踏んだみたいだ。


「あれー?君トッシーじゃない?ろうしたのー?」


舌の回りきっていない言葉が怖い。
陽気すぎてついていけない。


「お、お久しぶりです。」


丁寧に頭を下げると、
力強くトシの頭を掴んだ。


「なーんだよ。俺と関わるなって周りに言われてたんだろ?どうしたのー?」


歯を食いしばってトシは痛みに耐えていた。


「龍司。トシから手、離して。」

「はにゃ?すいませーん。」


離した手の指には何本か髪の毛が絡まっていた。


香代が心配そうにトシの頭を撫でている。


「あれ?君はサリーの幼なじみくんじゃないかい?」


一つ言葉を発するごとに口調が変わっていく。

大人数と話している気分になってくる。