「ああ。ごめんごめん。純にはライバルだったもんな。でもさ、俺が言いたいのはもう夢見た恋愛じゃなくて、身近にいい恋があるかもよ。ってことなんだよ。」
「なにそれ?話飛びすぎじゃない?」
「例えば、絵美とか。」
飲んでいたコーラが思わず口から飛び出した。
今日1日で一番に笑ったんじゃないかというとこまで笑ってやった。
「バカじゃねーの。絵美は友達だろ。完全に。トシもそうだろ?」
「俺はね、でもお前は違うんじゃねーの?」
「僕はないから。」
口の端を上げ、意地悪そうな目つきをしてトシが笑った。
「俺は絵美からお前の相談きいてるんだよ!」
「え?まじで?なんで僕?」
「さあ?俺も純みたいななよっちい、なんの取り柄もない男のなにがいいのか知りたいよ。」
トシの肩に思い切り拳を入れた。
さすがに言い過ぎだろ、
と最初は思ったがトシの言うとおりだ。
取り柄もない。頼りにもならない。
こんな男の何がいいのか知りたい。
周りにいる女は、僕をからかいやすいから面白い。
とか、あんま男っぽくないから相談しやすい。
とか、今までそんな扱いだった。
それに僕自身も小さい頃からさりちゃん以外は女の子だなんて意識したことがなかった。
ボーリングのピンがガンガン倒れていく。
その音が耳に無性に響く。
頭が回らない。


