君想い【完】



2駅越えると僕らの学校の連中がよく行くボーリング場がある。

どんなくだらないことも笑いに変えてしまう連れ。
少し気分も上がって、笑みもこぼれる。


でもやっぱり頭の片隅にはさりちゃんの姿が浮かぶ。


「コーラ買ってくる!」

そう言ってみんなから離れた瞬間ため息が漏れた。
自分の中にある嫌気が溢れたような重いため息。

音を立てて自販機の中で缶が落ちた。

まるで昨日の僕みたい。

さりちゃんの部屋でものすごい音を立てながら気分が落ちた。

「どうした?今日やけに暗かったじゃん。」

「ああ。トシか。んー悩み事。」

「また中澤かよ。いい加減に現実みたら?純の素朴さと、あんな性悪は合わないだろ。」

「さりちゃんは性悪じゃないよ。それはトシも知ってるだろ。」

「それにしたって。変わりすぎだよ。俺も最初は元の中澤を知ってるから、噂とか止めてたよ。でも見てるやつも何人かいるし。俺も見たし。」

「でも…」

「純も見たんでしょ?」

言葉が出た来なかった。なんて返せばいいのか分からなくなった。

「お前とはもう5年目だ。純のことはよく分かってる!中澤の事も知ってて、でも知らないふりして、僕だけは味方でいる。そんな感じだろ?それってただの意地じゃん!」

1番痛い所を付かれた。
さすが中学からの友達だけある。

「意地なんか、意地じゃないよ。僕がいなくなったらさりちゃんの味方は誰がなってあげるの?もうさりちゃんを守ってあげられるのは僕しかいないんだよ。」

「まあ、あんなこともあったから中澤は辛いかもしれないけど。あんな変わっちまったらあいつも嬉しくないだろ。」

「あいつの話しはしないで。」