君想い【完】



発狂したあとのさりちゃんに合わせるのは簡単だ。

さりちゃんのためならいくらでも嘘を付ける。


どこから記憶が飛んでるのか、
さりちゃんがいつの話をしているのかは分からない。
どんな想像の中の世界で話をしているのかも分からない。


でも僕がさりちゃんの話を否定してしまったら、
またさりちゃんが壊れてしまうだけだ。


「またゆかりちゃんの所に行っちゃったのかと思った。」

「行かないよ。」

「祥ちゃんみたいにどこか行っちゃったのかと思った。」

「行かないよ。」

「1人になりたくないよ。」

「させないよ。」


こんな時のさりちゃんが可愛く見えてしまうのは僕だけだろうか?

周りから見たら、異常なさりちゃんなだけかもしれない。

でも可愛く見えてしまうのは僕だけ?


こんなに素直に気持ちをぶつけてきて、
涙を流して声を上げて、
僕にすがりついてくる。

普段感情の無いさりちゃんを見ている分、
可愛く見えてしまう。

冷静で恐ろしいくらい凍り付いた目をしているさりちゃんが、泣き叫んでいる。

口数の少ないさりちゃんが、言葉をどんどん漏らしていく。


そんな姿を可愛いと思ってしまう僕は、
どこか壊れているのかもしれない。