君想い【完】

学校に着いて一番最初にさりちゃんのクラスに向かった。
思い切りドアを開けて教室の中を見回した。

「あれ?純?」

1年生の時、同じクラスだった友達が声を掛けてきた。

「ねえ、さりちゃん学校来てる?」

勢いよく問いつめすぎて後退りされてしまった。

「来てると思うよ。鞄あるし。」
「良かった。」
「まだ純は中澤さりなにかまってんのかよ。いくら幼なじみでもさすがにもう疲れない?」

「うるさいな!いいんだよ!」

完全に八つ当たりだった。醜い言葉を言い残して僕は自分のクラスに戻った。


「純!おはよー!昨日は楽しかったね。」
「ああ。うん。」
「なんか、暗い!」
「ごめん。絵美。今日はほっといて。」


さりちゃんに見捨てられた。そんな気分だった。
ショックを隠しきれず、いつもクラスでバカ騒ぎしている僕。久しぶりに黙り込んでしまった。
あのさりちゃんを追って新宿に行った以来だ。

「ちょっと純!つまんないんですけど!」
「ああ。ごめん。」
「また中澤さりな関係?もうほっときなよ!気分下がってるときは遊ぼう!今日も昨日のメンツでボーリング行くから!行こう!ね?」
「ああ。うん。」

そっけない返事をして僕は机に伏せた。

さりちゃんと喧嘩なんかしたのは子供のとき以来だ。喧嘩なんかじゃない。
僕が一方的に悪い。さりちゃんはあまり干渉して欲しくないって僕に言って来た。

それなのに干渉してしまった僕が悪い。