君想い【完】



茶色の扉の向こうから大音量で音楽が聞こえてくる。

ノックをしても音が大きすぎて、扉の向こうまで音が届いていないみたいだ。


「姉貴!」

「びっくりした!ノックくらいしてよ!」

「したから。話あんだけど、いい?」


白いリモコンをコンポに向けて、電源を切った。

制服のネクタイを緩め、勉強机の椅子に腰を掛ける。

音楽を切った無音の部屋に、椅子の軋む音が響く。


「どうしたの?真剣な顔して。」

「姉貴のいらない情報網と、無駄にありすぎる権力と、バカみたいな顔の広さが役立つときが来たんだよ。」

「余計な言葉が多いけど、可愛い弟のために相談を聞いてあげよう。」


余計とは言われたが、
本当のことだ。

僕でさえ知らない僕の周りの友達の情報を知っている。

先生や、先輩たちを黙らせるくらいの権力。

隣りの県まで知り合いがいるくらいの顔の広さ。

関東全域で姉貴の事を知ってるんではないかと思うくらいだ。


「で、何?どんな話?」