おばさんは涙を流しながら話してくれた。
「祥吾くんはね、ずっと両親に怒っていたのよ。もうそんな所からお金を借りるな!とか、薬に手を出すな!とかね。今日も朝からケンカが止まらなくてね。」
「ゆか、そのケンカ朝聞いたよ。」
「聞いたのね。祥吾くん最近学校来てなかったでしょ?昼間とか取り立てがすごくてね。薬以外に両親がおかしな手に乗らないために、自分が取り立ての人と話していたのよ。だからいつ来てもいいように学校には行ってなかったの。」
祥吾の学校に来られなかった理由がやっと分かった。
お金がなかったら修学旅行にも来られない。
祥吾の行動の理由が
今やっと分かった。
こんな事になる前に分かれば良かったのに、と誰もが後悔した。
夕日も沈み、自分たちの気分も沈む。
夜の暗さが余計な恐怖さえ生む。
「もう取り立てから逃げるのも、延ばしてもらっていた返済日も今日が限界だったのよ。両親は奴らにやられたわ。少し離れた場所で遺体が見つかったの。祥吾くんはおばさんが通報した警察が入ったとき、リビングで倒れていたのよ。」
「妹さんは?」
「きっと奴らに連れて行かれた。借金はまだ1000万程度残っているの。どっかで働かせて返済させられるのかもしれない。」
僕たちの知らない世界で、
どれだけえげつない事が繰り広げられているかを知った。
ショックというより、
驚きと衝撃が大きかった。


