君想い【完】



空気が凍った。



外から焼き芋屋の歌が聞こえるのがうざったい。


「ウソ、嘘でしょ!ママ嘘って言ってよ!」


ゆかが泣き叫びながら、おばさんの服を掴む。

そっと頭をなでながらゆかをなだめている。



この中で祥吾の両親に会ったことがあるのはゆかだけだ。

小さい頃からお世話になっていて、親と変わらない存在だっただろう。


僕がさりちゃんの両親に対してそうだから。



「祥吾はどうしてあんなになっちゃったんですか?」


両親は殺され、
妹の舞ちゃんは行方不明で、
祥吾は脳死判定に至るまでの暴力をうけた。



「今日、朝からものすごい音が聞こえたの。」