君想い【完】



「実は、祥吾くんちには多額の借金があってね、ヤミ金とか裏の世界の人たちからお金を借りていたみたいなの。」

裏の世界とおばさんは言葉を濁したが、中学3年生になれば意味くらい分かる。


祥吾のこともあったし、言葉を選んで話すおばさんに申し訳なくなった。


これ以上衝撃を与えないように、
これ以上傷つけないように必死に言葉を選んでくれている。




「祥吾くんのお父さんはお金欲しさに薬を売ったりもしていたの。」

「祥吾の両親はどこにいるんですか?」


口の端が一瞬痙攣したのが分かった。

眉間にしわを寄せ、ゆかに似た笑うと細くなる目に涙が溜まる。





「殺されたわ。」