君想い【完】



リビングにあるソファーに腰を掛ける。

さりちゃんを挟むように
僕と香代が座った。

ゆかとトシはダイニングテーブルに座り、
カラカラになったのどを潤してた。


「祥吾くんは、もう生きていないものだと思って。脳死判定が出たのよ。」


目を丸くして、
みんな口が開いていた。


脳死判定という聞き慣れない言葉に反応しきれていなかった。


「何?それ?」

おばさんが丁寧に脳死の話をしてくれた。
やさしい口調から出てくる言葉は残酷で、
もう祥吾は生きられない、ということを語っている。


その場で誰もが涙を流し、
祥吾をこんな風にした奴を恨んだだろう。


「なんでこんなことに?」


僕の質問におばさんは黙ってしまった。

だってこれが一番の本題だから。