君想い【完】



みんなが清水寺を回っているとき、
僕はずっとベンチで休んでいた。


清水の舞台から紅葉を見たかったのに、

今は動く事が出来ない。


「さりちゃん、みんなと回って来ていいよ。」

「大丈夫!純が良くなるまで一緒にいる!」


何度もハンカチタオルを濡らしに行ってくれたり、
僕にたくさん世話を焼いてくれた。


清水寺を彩る紅葉の葉が舞い、
桜の散った気を見て、
ソメイヨシノの多さに幻滅した。


「昔の清水寺はもっと自然が多かったはず。」

「ソメイヨシノばっかりじゃなかったって事?」

「ヤマザクラとかカスミサクラとかたくさん咲いてたはずなんだ。」

「何?急に。」

「さりちゃんと祥吾もそれだけ自然だったって事。最近はぎこちないよ!」

「昔から清水寺の桜はソメイヨシノばっかりだったかもよ。」

「え?」

「そんなに自然じゃなかった。あたし達も。ケンカは絶えないし、意見も食い違う。あたしが合わせてあげることもあった。」

「なんで別れなかったの?」

「好きなんだよね。どうしても。」