満面の笑みを浮かべて言ったゆかりちゃんに対して
僕は情けない顔で返事をした。
「何言ってんの。冗談やめてよ!びっくりしたな。」
「冗談じゃないんだけど。」
その表情はさっきの満面の笑みを消し、
触れたら熱いんじゃないかというくらいまで
頬を赤く染めていた。
「え?ゆかりちゃん?」
「教室でお弁当食べる。」
膝に掛けていたコートを羽織り、
屋上を飛び出した。
「ゆかりちゃん!」
僕の声が届かずそのまま言ってしまった。
「なんでゆかり行っちゃったの?」
扉を開けて顔を出したのは香代とトシだった。
少し安心して、
僕は2人に一部始終を話した。
むしろ話さず終えなかった。
だって1人じゃどうしようもない。
今の状況がさっぱりつかめない。


