君想い【完】


「でも、僕の中でゆかりちゃんも放っておけないよ。」

「そう?」

「なんか壊れちゃいそう。」

「それは純くんも。いつも何か抱えていて、人の事を一番に考えて、どこかに埋まっていってしまいそう。」


ゆかりちゃんの言ったことは、僕がいつか考えたことだ。



人の意見に流されて、
自分の意志が少なくて、
悩み事が人に言えなくて、


僕はこのまま黒い不満の塊に、
包まれて、
どこか埋まっていきそうだ。



よく考えた。



でもその黒い塊を取っ払ってくれたのがトシだ。


「トシに会って、不満とか相談とかぶちまけるようになって、今は前より楽。それでもまだそう見えるのかな?」

「うん。トシで足りないところがあったら、ゆかが聞いてあげるし、ゆかに出来ることがあったらなんでもするから。」


真剣な目で訴えってきてくれた。


僕の心に通っていた冷たい隙間風に
温かい春風を吹かせてくれた。