君想い【完】


お人形さんみたいに可愛い子は、


僕の中で女の子に変わっていた。



どこか儚げで、
壊れてしまいそうなお人形さんは
可愛い女の子に変わっていた。


僕の前にいる人気者は
怒ったり、
寂しい顔をしたり、
大きな口を開けて笑ったりする。


教室の中にいる人気者は
静かに笑って、
常ににこにこしていて、
表情があまり変わらない。


だから僕はずっとお人形さんみたいだと思っていたんだ。


「純くんペットとかいないの?」

「僕はさりちゃんの世話でいっぱいだよ。なんて言ったらさりちゃんに怒られるけど。」

「中澤さんって可愛いよね。なんかすごく放っておけない。」

「分かる。いつもどっかで何かやらかす。」

「羨ましい。」

少し寂しそうな顔をしたゆかりちゃんを見て、
僕は祥吾のことを思い出させてしまったと後悔した。