君想い【完】


始業式が終わって、
やっぱり女だった担任の挨拶を聞いて、
かったるい午前中を終えようとしていた。


廊下にはすでに香代がいて、
背伸びしながら教室を覗いていた。


そんな香代の姿を見ながら
声を押し殺して、
トシが笑っている。


「トシ、笑いすぎ。」

「だって、あいつうける。必死に見ようとして鼻の下伸びてる!」

僕も思わず笑ってしまった。

トシの絶妙なポイントで笑っていたことにつられた。


「そこ、うるさい!」


初日から怒られる、
トシのせいだ。

トシを睨み付けると
笑いながら謝っていた。


ふざけた奴だ。