君想い【完】


ゆかりちゃんを睨み付けるさりちゃんの目がすごく怖かった。


それはトシも香代も思っていただろう。



すごくさりちゃんの可愛いたれ目が、
眉間にしわを寄せてつり上がっていた。


「ちょっとさりちゃん!」


人混みをかき分けながらさりちゃんを連れ出した。


「ゆかりちゃん、もう祥吾の事好きじゃないよ。だからあんなに睨んじゃだめだよ!」

「そうなの?知らなかったし。でもまた好きになるかもしれないじゃん!純ちゃんと見張っててね!分かった?」

「分かったよ。もう…」


強情で、
意地っ張りで、
我が儘で、
自分主義。


これこそさりちゃんだ。


でもこんな小さなことで嫉妬するさりちゃん。


すごく可愛いと思った。


その分すごく祥吾が羨ましい。