私には朔哉なんて届かない。
友達としてじゃないと、朔哉の隣にはいれないんだ。
だって…。アイツは正直モテる。
ムードメーカー的な存在で、周りには常に人がいる。
私にはムリだよ……。
「茉ー維っ」
「実琴…」
私に声をかけてきたのは小山実琴(コヤマ ミコト)。
小学校の頃からの親友。
実琴にだけは、自分の気持ちを言ってある。
「茉維、バレンタインどうするの?」
「クラス皆にあげるよ?」
「そうじゃなくて!」
そうじゃない?ってどういう意味?
「滝本にだよ」
そう小さい声で言った実琴。
「皆と…同じのにするよ…」
そう言った私。
だって、ムリだってわかってるのにわざわざ皆と違うようにして
気持ちがばれるのは嫌。
「なんで?
勇気だして本命チョコ作りなよ!」
「だって…私にアイツはムリ。」
私みたいな子じゃムリなんだよ。
もっと可愛らしい子じゃないと。アイツにふさわしくない。
「茉維、ムリだって決めつけちゃダメだよ?
本人に聞かなきゃわからないじゃん。
後で後悔したって遅いんだよって…茉維は私の時に教えてくれたじゃん」
実琴には彼氏がいて……
その彼氏に告白するように説得したのは……私。
「私…作ってみる…」
実琴に偉そうなこと言って、自分だけ逃げるなんて…。ダメだよね。