電車には君がいた

「高木!」

同僚の、長瀬が話しかけてきた。

「おう、おはよう」

こいつは朝からキラキラオーラ全開だな。

「お、高木、いるじゃんあの女子高生。」

長瀬が指さしたのは、そう、
俺が興味を持っているあの女子高生だ。

「ああ、そうだな」

「お前さー、いつまでそうやってるつもりなわけ?もう2ヶ月だろ?」

「…」

「…はっきり言って、キモい」

「」

俺は絶句するほかなかった。
まあ、長瀬が言ってることは正しい。
だからといって俺には何をしたらいいか分からない。だから毎朝眺めているだけなのだが。

「お前に話しかけられたら女子高生は一発でやられるぜ?」

「いやそれはお前だろ長瀬。」

「いやいや、たかき…「えーみかっ」

「あ、リカおはよう」

天使の声が聞こえた。
あの子はえみかと言うのか。

「…高木、俺の話聞いてた?」

「あ?…ああ、聞いてなかった。」

「あのね、俺は高校の時からの友達からだから言うけど、お前なら大丈夫だから!」

俺は苦笑した。苦笑するほかなかった。
俺には自信がなかった。

「…長瀬、電車」

「あのなあ。」

あー、これから会社か、憂鬱だな。
でも、えみかちゃんに会えただけいいか。
癒された。

…俺キモい。

どうしたらいいんだ、俺は。

答えの出ない質問を自分に投げかけながら電車に乗った。