「それでは、こちらに名前を。」

「はい、」

「会社と学校の方には駅から電話させて頂きます。ありがとうございました。お気をつけて。」

やっと駅員から開放された俺は
ずっと俺の裾を掴んで離さなかった
えみかちゃんに声をかけた。

俺の裾を掴んでいた手はまだ震えていた。


「えみかちゃん、大丈夫?」

「た、高木さん…あ、あの…」

声までもがいまだ震えていた。
あのオッサンは一生許さない。

「ん?とりあえず、座ろうか。」

「はい…」

俺はえみかちゃんをベンチに座らせ、
自販機で買った温かいココアをあげた