しばらく抱き合った後、腕からの拘束を解かれた。
「藤さん、付き合ってくれますか?」
と、上目遣いで見つめてくるから、うっとくるものがある。
断るのは、許さないーーーそんな迫力が瞳の奥に隠されてる気さえしてしまう。
年上のおねーさんならイチコロだろうに、とも思ってしまうよおじさんは。
「……こんな私で良いのなら」
息をすぅっと吸って。
軽く吐いてから、彼の目を見つめて言った。
よろしくお願いします、と彼が手を差し出す。
こちらこそ。
彼の差し出した手に重ねるように手を置く。
あまりに慣れなくて、私たちは目を見合わせて笑った。



