「~~~っ、藤さんっ!」
ガバッと中谷君が勢いよく抱き着いてくる。
「中谷君!?」
「俺、幸せです!」
嬉しい、と全身で表すように、ぎゅーっと。
笑顔の彼の姿に、抱きしめられた強さの苦しさではなく、微笑ましい気持ちの方が勝った。
「……おれも、幸せだよ」
ーーーこれ以上、ないくらい。
そこまで言うのは少し恥ずかしくなって、彼の肩に額をつける。
後の方がボソッと囁くようになってしまった。
聞いたのか分からないが、中谷君が私の目を一瞬ちらっと見た気がする。
それから、顔が赤くなったのは……気のせい、だろうか。



