「無理、させてたんだな。中谷君に」
「藤さん……？」
優しい声に、すがるような声。
それに諦めるように、認めて言葉を発する。
「好きなんだ。許してもらえないって分かってる……それでも、俺は」
「はい」
「中谷君のこと、どうしようもないくらい好きみたいなんだ。参ったね」
ハハッと渇いた笑いが漏れる。
中谷君には、俺の姿がどう映っているだろうか。
「……ほんと、ですか？」
しばらくして。
中谷君は信じられない、といった顔で私を見る。
声も多少震えている気がするのは……気のせいだろうか。
「ほんとだよ？」
小さい子どもに言い聞かせるように、優しく伝える。
そして、確認のように。
「俺は中谷君が好きです」
