「んあ……よく寝た」
ふぁ、と大きな欠伸をしてから、グーッと手を交差しながら腕を伸ばす。
「中谷、くん?」
少しだけいびきをかいて私の寝ていたベッドのそばで寝ている彼。
普段の姿から、今のようなかっこ悪い寝相が想像つかなくて。
笑うつもりはなかったのに、笑ってしまう。
「……かけてくれたんだな、ありがとう」
軽く毛布がかかってる程度の中谷くんに、自分がさっき使った毛布をかける。
………それだけじゃ寒いだろう、という配慮からの行動である。
「もうちょっとは、私のことばかりでなく、自分のことも大切にしてくれよ」
思わず、ボソッと呟いてしまう。
基本、彼は自分のことに無頓着なのか……それとも、私に夢中になって自分のことにお留守なのか、それか、また別なものなのか。
それは私は彼ではないので分からないが。



