この場に藤川さんがいたら多分、飽きられてしまっていただろう。
そう思考が行き着くと、これ以上考えるのは良そう、と思った。
−−無論、藤川さんに嫌われたくはないから、である。
「あ、この部屋……」
捜索開始から15分は経過しただろうか。
他の部屋にはなかった立て札が、その部屋にはあった。
それを見てみれば。
「……ゆう、の部屋……?」
−−拙い、幼い子どものような文字。
気になってその部屋のドアノブを回して入ってみれば……予感の通り、他の部屋よりかは生活臭があった。
と言っても、あんまり使っているようにはとても見えなくて。
「藤川さんの部屋……?」



