「私は、何も恐がってなんかいないよ、中谷君。
……見当違いじゃないのか。
中谷君お得意の理論もここでは外れたようだ、残念だ」
私は不愉快だ、とでも言うようにヘッドフォンをつけようとした。
だが、彼は片手でヘッドフォンを私が今使っているパソコンから抜き、それを許さなかった。
「−−−藤川さん!」
……頼むから。
頼むからさ、ほっといてくれないか。
「じゃあ何で震えているんですか!?
何で俺から避けるんですか!?」
「……中谷君だってそらした癖して、私にそれを言わせるのは酷じゃないかな」
自嘲気味にそう言って笑ってみせると、流石の中谷君も黙った。



