「ん?……んぁ、な、中…谷……君?」


居たのか、と寝ぼけた頭を回転させ始めて思う。



「おはようございます、藤川さん大丈夫ですか?」


私にそう挨拶してから、彼はコトンと私のデスクにココアを置く。


今日も中谷君は、ピシッと大人の魅力と清潔さと二十代のフレッシュさを兼ね備えた格好をしている。


……ん?なんでココア?



「……大丈夫だ、起こしてくれてありがとう。
なんでココアなんだ?」



よくぞ聞いてくれました!という顔で中谷君は説明し始めた。



「うなされているようでしたので。
小さい頃、何か落ち着きたい時などに母親に飲ませられていて。
……僕が言えることではないのですが、温まりますよ」