チェンジ type R

(作家……作家って、『人形使いは闇に踊る』の中道さんか!?)

 何だか興奮気味に隼人くんが聞いてくる。
 『人形使いは闇に踊る』は確かにお父さんの作品だ。
 隼人くんの思いもよらぬ興奮度合いにちょっと引いてしまいそうになるが、それでもお父さんのおとが知られていると分かるとちょっと嬉しかったりする。

 口には出さずに、コクンと小さく頷いて隼人くんに肯定の意を示す。

(マジか!? スゲエ! サイン貰っても良いかな!?)

 いや、また興奮レベルが上がっている。
 というか、こんなにお父さんのことを聞いて興奮する人は初めて見た。
 娘としては嬉しいような、照れるような複雑な気持ちだ。

 確かにお父さんはそんなにマイナー作家ではない。
 大学生の頃から作家として活動してたそうだし、賞も何個か貰っている。
 そこそこのヒット作も出してるし、ファンが居ても不思議ではない。

 でも……ここまで興奮しないといけないものなの?
 そこまでディープに何かにハマった経験が無いので、今の隼人くんの反応がやや過剰に感じてしまう。