隼人くんはアゴに手を当ててこちらを見ている。

(ふむ、『女かな?』とは思ってたが……やっぱり女だったのか)

 え?性別から疑問の対象に入っているの?
 何?その微妙に失礼な言い回しは?
 かなり引っかかるものを感じるけど、この機会に自己紹介はしておくべきかな?

 元に戻る方法について、何かヒントになるかも知れないし。

――うん、まりあ。中道 真里愛だよ。

 私がかなり早い段階から隼人くんの名前を知ってしまっていたから、既に自己紹介をした気になってしまっていたが……。
 まあ、細かいことは気にしてはいけない。
 少し遅くなってしまったがこれで自己紹介は済ませたぞ!

(中道……真里愛、ね)

 隼人くんは自分の頬をポリポリと人差し指で掻いている。
 視線は私の方ではなく、電車の天井部分に――何か引っかかるものがあるような仕草だ。

――ん?どうかしたの?

 何か引っかかりがある様子。
 気になるのでストレートに質問をぶつけてみる。