(まあ、そういうことだよな)

 隼人くんが間髪入れずに私の思い浮かんだ心配を肯定する。
 え?隼人くんはメールを送ったところでこうなることが分かってたということ?
 じゃあ、何故に最初からそう言ってくれないの?

「え? な、何か知ってるの!?」

 思わず口に出てしまったような気がする。
 その証拠と言わんばかりに、電車内の数少ない乗客の皆様の視線が心なしかコチラに向いているような気がする。
 うん、周囲に誰も居ないのにいきなり空中に向かって話しかけるのは……春先に多く出現するような方々くらいなもんだよね。

 咄嗟に誤魔化すために、手に持った携帯電話を耳に押し当ててみた。
 夢の世界に行ってしまっている人に見られるよりは、車内で携帯を使う非常識な人に見られた方が幾分かマシなような気がしたからだ。

 そんな私を、またも冷ややかな目で見ながら隼人くんが一言。

(……ちょっと頭を働かせれば分かることだろうが)

 う……。
 冷たい視線の連発はさすがに心に堪えます。