エスカレーターに乗り、ホームへ着く。
 時刻表をチェックすると次の電車の到着まであと五分といったところだった。
 白線に沿って並び電車を待ちながら考え事を始める。

 ここまでで私に分かっていること――。

――目が覚めたらいきなり隼人くんの中に入ってて。
――鏡やガラス越しでないと隼人くんの姿は見えなくて。
――隼人くんの姿が見えてないと私に隼人くんの声は聞こえなくて。
――私の考えていることは隼人くんに聞こえているみたいで。

 えっと……後は何があったかな?

――私は隼人くんの中に入ってる。
――でも隼人くんの魂(?)は目の前に居るわけで。
――じゃあ、私の身体はどうなってるの?
――中身が空っぽっていうことじゃないかな?

 そう、だから隼人くんとの話をそこそこに切り上げて慌てて外へ向かったわけで。
 私の身体が空っぽになってるってことは……もしも死んでるとか勘違いされたりしたら大変じゃない?
 というか、魂が抜け出てるということは本当に身体は死んでしまっているのではないかという最悪の事態まで想像してしまう。
 そうでないことを祈るしかないのだけれど……とにかく一刻も早く自分の身体の無事を確認しないといけない。

 そんな事を考えているうちに――電車がレールの軋む音を響かせながらホームに到着した。