「なんにもおもいつかない」


翔くんの魂は、そう言ったかと思うとスッとイサヤの手の中から飛び出した。


「あ、こら待て!
 どこに行く気だ?」

「翔くんダメだよ!
 勝手に動いたら危ないよ!」


私たちはきれいな白い光の残像を残しながら飛んでいく翔くんの魂を、慌てて追いかけた。