奥手女子の恋愛事情

「朱美ー。朱美ー。・・・朱美!!!」

ひっ。

結衣のバカでかい声に驚く。


「さっきから呼んでるのに無視しないでよ。

ボール遅いなーと思って。

・・・どうしたの??」


結衣が放心状態の私に気付いたらしい。


「あのね、今藤堂先輩が・・」


「藤堂先輩!?

なに?殴られたりした?」


結衣がちょっと心配そうに言う。


ヤンキー風の身なりで怖い雰囲気の

藤堂先輩は、皆から怖がられていた。


「いやいや違くて」

さっきあったことを結衣に話す。



「えー!?

見てただけで言うてくるって、

どんだけ島田先輩は嫉妬深いん?

それに、言うなら自分で言うてこな

あかんやろ!」


興奮のあまり関西弁になる結衣。



「そ、そうだよね。

まぁ否定しておいたから問題ないと

思うけど。」


結衣の勢いにビックリした。



「まぁ、でも。

勘違いもいいとこだよね。

朱美が見てるのは鎌田じゃなくて、

加賀見だもんね。」


と当然のように結衣が言った。


えっ。



なんで・・・


誰にも言ってないのにバレてる??



「まぁもう時間だし、さっさと行こ」


結衣はニヤニヤしながら

先に行ってしまった。




問題ないと思っていた私。

でも実はそうじゃなかった。