部室でボールやらゼッケンやらを

準備していると、

藤堂先輩がやって来た。


「おはようございます。」


挨拶をしても返事が返ってこないので、

顔を上げて藤堂先輩を見ると

怖い顔をして私に近づいて来た。


藤堂先輩、ただでさえいつも怖いのに

なんでそんな顔!?

身に覚えがないのでちょっと焦る。



「青井さんさー。

鎌田くんのこと好きなの?」


私を睨むようにして見て言った。



へ?


あまりにも予想外で固まった。



「奈々が

青井さんがいつも鎌田くんのこと

見てるって言ってたよ。」

奈々っていうのは島田先輩のこと。



いつも見てる・・?

確かに鎌田のことはよく見てる。

と言っても、見てるのは鎌田のバスケ。


多分県内でもトップクラスに

バスケが上手い、

鎌田のプレーを見てるんだ。


「い、いや。それは鎌田がバスケが

上手いから見てるんです。」


怖さのあまりどもってしまった。



「ふーん。

じゃあ鎌田のことは好きじゃないって

ことでいいんだよね?」


凄まないでくださーい。怖いから。


コクコクと頷く私を見て、

藤堂先輩は去って行った。



・・・なんだったんだろう、今の。