奥手女子の恋愛事情


先に担任の小川先生と話していたら

加賀美が遅れてやってきた。


「すみません、ちょっと遅れました」

急いで来たのか、息が少し上がっている。


「おう。今日のことは青井から聞いてな。

じゃ、よろしく!」


小川先生はそう言って職員室へ戻って行った。


「青井、遅れてごめん。今日の雑用はなんだって?」

いつも通りの加賀美が言った。


さっき見た光景を思い出し、ちょっと胸がまた痛くなる。


「青井?」

黙り込んだ私を不思議そうに加賀美が見ていた。


「あ・・。今日は資材置き場から

明日の授業で使う材料を持ってきといて、だって」


「そっか。じゃあさっさと終わらせるか。」


資材置き場に向かおうとする加賀美に思わず


「きょ、今日は私だけでも大丈夫な感じだし、

加賀美は先に部活行ってて良いよ。

来週から加賀美達は大会始まるんだし」


と言った。


なんとなく加賀美と一緒にいたくない気分だった。

それに実際、男子は来週から県大会の予選が始まる。


「え。。でも、ほんとに大丈夫?」

加賀美が心配そうに言う。


「大丈夫大丈夫。終わったら私もすぐ部活行くから」

なるべく明るく見えるように笑ってみた。


「んー、そっか。じゃあ今日は頼むな!」

そう言って加賀美は去って行った。