奥手女子の恋愛事情

「あいつ、朝から忙しそうだな」

おかしそうに加賀見が笑う。


「そ、そうだね」

加賀見を直視できない、恥ずかしくて。


「今日、担任に呼び出されてる日だぞ。

放課後は部活前に職員室集合な?」

忘れるなよ、と言って、加賀見も行ってしまった。


忘れてた。。

今日は雑用お手伝いの日か。。

最近加賀見のせいで他のことを

すぐ忘れてしまう。


それにしても、相変わらずいつも通りの加賀見。

私だけドキドキしてるのが、馬鹿みたいに思えた。



放課後、職員室へ向かっていると

階段の脇に加賀見がいるのが見えた。


立ち止まって誰かと話しているみたい。

あれは、2年生の金井さんだ・・。


色素の薄い栗色の髪がまっすぐ胸まで伸びている。

すらっとしていてバービー人形みたい。

金井さんは違う部のしかも後輩だけど、

美人男子が騒いでいるので

名前も顔も知っていた。


ぼーっと遠くから見ていると

加賀見が優しく笑いながら、

金井さんのキレイな髪に触れた。

金井さんは顔を赤く染めて照れ笑いしている。


ズキッ。

あれ? なんだか胸が痛い。


長身で精悍な加賀美に、

美人でお人形さんみたいな金井さん。

あまりにお似合いな2人を

ずっと見ていられなくて

逃げるように職員室へ向かった。