奥手女子の恋愛事情

加賀美の唇が離れた後も、

私は放心状態だった。


い、今のキスってなんか普通のキスじゃなかったよね!?

力が入らなくて、気持ちよかった・・・し。


頭がぼーっとしてうまく働かなかったが、

これだけは聞いておかなきゃ!


「な、なんでこんなことするの?

初めにキスした後だって、

加賀見はずっといつも通りで・・

なのに今日もまた、なんて・・・」


どういうこと?



「青井はなんでだと思う?」

加賀見はちよっといたずらっぽく言った。

まさかの質問返し。


「な、なんでって・・・。

少しは私のこと好きでいてくれてるから

キスしたりするのかなとは思う。。」


ふっと加賀美が笑った気がした。


「じゃあ、青井が俺をどう思ってるか、聞きたい」


また質問?


「え。。

加賀見は、か・・カッコいいし頭も良いし・・」


加賀見がじーっとこっちを黒い瞳で見るから

どんどん恥ずかしくなってきた。


「優しいし・・・」


まだ加賀見は黙ったまま

私の言葉を待ってるみたいだ。


えーい、こうなったら言っちゃおう!

「す、好き・・」


もう恥ずかしくて耐えられず、下を向いた。


「俺も。俺も青井が好きだよ。」


加賀美はキレイに笑ってそう言って、

腕で私を包んだ。


「ほ、ほんとに?」


私だけキスにドキドキして、

私だけ加賀見を意識してるんじゃないかと

実は思っていた。



「うん、ほんと。

ちょっと意地悪したくなっただけなんだ、

初めの時は」


加賀見が思い出したように笑った。


「意地悪?」


「そう。青井が俺の気持ちに全然気づかないから。」


加賀見の黒い瞳が私の目を覗き込む。

そのキレイな瞳があやしく光る。


「でも、今日のは我慢できなかったから、した。

・・青井、さっき甘い声が出てた。

気持ちよかった?」


色っぽく微笑まれて、顔から火がでそうだ。

き、気持ちよかったけど。。


「もう一度、青井のあの声聞かせて?」


そう言って、加賀見はそれから

一度じゃなく何回も私にキスをした。