奥手女子の恋愛事情


「なんか変だったな、日高」

加賀見がおかしそうに言う。


「そ、そうだね。どうしたんだろう、結衣」

アイスクリームはどうなった??


「まぁ良いや。

青井も駅まで行くんだろ?一緒に行こう。」

加賀見が言った。


「う、うん」

もしかして結衣はこれを狙って・・・?

その気遣い、嬉しいような困るような。。



人気のない駅までの並木道を、

特に会話もなく2人で並んで歩く。

気、気まずい。

私、変に加賀見を意識しすぎて、

普段よりさらに無口になってる気がする。。


でもこれって、この前のこと聞く良いチャンスかも!



「加賀見!」

「青井さー」

話出しのタイミングがかぶった。


「あ、ご、ごめん。なに?」

思わず話を譲る。


「こっちこそごめん」

加賀見がクスッと笑った。



「青井さ、最近俺のこと、避けてない?」

顔を覗き込むようにして加賀見が言う。


「避けてなんか・・ないよ」


避けるどころか、目でずっと

加賀見を追っちゃうくらいだよ。。

加賀見の黒い瞳が思ったより

近くにあって、思わず目を伏せた。


「やっぱりこの前のこと、怒ってる?

いきなりキスしたこと。」

ちょっと加賀見が顔を歪めた。



きゃあ!言葉にされるとすごく恥ずかしい!


でも、怒ってるかというと

全然そういう気持ちには不思議となっていなかった。


「怒ってない・・よ?

ただ、なんで加賀見がその・・突然

私にキ、キスしたのかなって分からなくて・・」



キスしたのに加賀見がいつも通りにしてるから

なおさら分からなくて。

私だけドキドキしてるのが悲しくて。



自分の言いたい事がうまく言葉にできず、

途方に暮れて加賀見の顔を見上げた。



「突然じゃない。

前からそうしたかった。今だって。」


加賀見の顔がさらに近づいて、

形の良い加賀見の唇が私の唇に触れた。


多分私の顔は今真っ赤になってるに違いない。