奥手女子の恋愛事情

加賀見のことを考えすぎて、

でも何もできないまま

T中学校との練習試合があった土曜日が

終わろうとしていた。


試合の結果は・・

負けはしたものの、かなりの善戦!

私も部員のみんなも、

そう暗くない気持ちで

T中学校から帰る準備をした。


「ありがとうございました!」

皆で挨拶をした後は、現地解散だ。


「帰り、アイスクリーム食べに行かない?」

結衣が機嫌良く言った。


「いいね!」

私もちょうど小腹が空いてたところだ


駅前のアイスクリーム屋に歩き出そうとしたら


「今日、結構女バスもいい試合だったな。

珍しく。」

という声が背中から聞こえてきた。


結衣と振り向くと、声の主は鎌田だった。

その横には加賀見がいる。


「珍しく、は余計だけど。」

結衣が満更でもないように言う。



「言った通りだっただろ?」

加賀見が私を見て微笑んだ。



・・・そういえば言ってたな、そんなこと。

そう言った後に加賀見が私に・・


また思い出して顔が赤くなった。



「何?なに? 言った通りって?」

鎌田が加賀見に聞いた。


突然結衣が叫んだ。

「あ!!!

鎌田、そういえばマリオが呼んでたよ。

私も忘れ物あるから一緒に戻ろ。」


と強引に鎌田を引っ張った。



「朱美、悪いけど先に帰ってて!

加賀見も。」


ほら行くよ、と鎌田を引きずった結衣が

遠ざかって行った。