「あー。
佐々木先輩が学校にいないと寂しい!」
練習が終わった後のくつろぎタイムに
結衣がもはや口癖になってる言葉を
また口にした。
私が加賀美の一言に
ドキドキしていたあの日、
結衣は佐々木先輩と一緒に帰り、
告白されたらしい。
もちろん結衣の返事は迷うことなくOKで、
それ以来ずーっとラブラブだ。
「幸せそうで何よりだね。」
結衣のストレートな口癖に
クスッと笑ってしまう。
「まぁね!」
ほほほと結衣が笑う。
「佐々木先輩、元気にしてるの?」
結衣は会っているが、
私は佐々木先輩をしばらく見ていない。
「元気元気。相変わらずカッコ良いし!
高校にも私に勝てる女子はいないらしいよ。」
結衣がちょっと顔を赤くして、のろけた。
「・・・あ。そうだ!
佐々木先輩から聞いたんだけど、
加賀美って結構女子人気高いらしいよ〜。」
突然結衣が話を変えた。
「そ、そうなんだ。」
やっぱりそうだよね。。
派手じゃないけど、よく見ると美形だし。
あの優しさに気づいている人も
実は多いんだろうか・・。
「佐々木先輩と加賀美は家が近いから、
最近たまに告白されてるところ
見るらしいよ。」
ちらっと結衣が私の顔を見た。
「告白・・ね。」
ということは、加賀美はもう誰かと
付き合ってたりするんだろうか。
「結衣様リサーチによると、
今は特に彼女はいないみたいだけど。
ボーッとしてるとそのうち
彼女だってできちゃう、か・も・よ?」
ポンと結衣が私の肩を叩いて、笑った。
・・結衣、わざわざ加賀見のこと、
調べてくれたのかな。
結衣はもちろん私の気持ちに
気づいているみたいだけど、
一番仲がいい結衣にすら、
加賀見については話したことがない。
加賀美のことは好き・・なんだと思う。
だけど、自分が加賀美とどうしたいのかは
よく分からない。
そういうことを含めて、結衣に相談したらいいのかもしれない。
「結衣、あのね・・」
話してみよう。そう思った時、
「加賀美、青井!ちょっとこっち来い!」
マリオが大声で呼ぶ声が聞こえた。
「・・結衣、ごめん!
ちょっと行ってくるね」
加賀美とセットということは、
何か練習絡みだろう。
加賀美は三年になった今、
男子バスケ部のキャプテンだった。
走ってマリオのところへ向かった。
