奥手女子の恋愛事情

・・え? えー!?

顔が急に赤くなるのが自分でも分かった。


「そ、そんなこと初めて言われた・・。」

本当に。


加賀美が何か言いかけた時、

「晃!早くこっち来て練習しようぜ!」

と、能天気な声が聞こえた。


「青井は女バスの片付け残ってんだろ?

早くやれよ。」

鎌田がしっしっと手を振って言った。


「今やってたとこだけど!?」

そもそも鎌田のせいで

毎日片付け係なんですが?



「晃とダベってサボってたじゃん。」

鎌田がべーっと舌を出した。


「青井はサボってたわけじゃない。

俺がちょっと邪魔しちゃっただけだよ。

な?」

加賀美が言う。


「い、いや邪魔だなんて・・」

全然思ってない!

優しい目で私を見る加賀美に照れつつも、

つられて微笑む。

むしろ邪魔なのは鎌田だし。


「なにニヤニヤしてんだよ、気持ち悪いな。

晃、行くぞ!」


鎌田が加賀美を引っ張って向こうに

行ってしまった。


鎌田のバカに引きずられている加賀美の

後ろ姿を見ながら

さっきの言葉を思い出す。


・・可愛いのにって、言ったよね?

言ってたよね?


思い出すだけで笑顔になれるかも!

笑ってみると少し気分が

軽くなった気がした。


浮かれていて、先輩達がこっちを

見ているのには全然気づかなかった。